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漢方外来からのお知らせ COVID-19オミクロン株流行期の軽症者に対する漢方治療について


2022年1月26日
中東遠総合医療センター 総合内科 漢方外来 大瀬綾子
一般の方向けの記事ではありません。市販薬と医療用製剤は成分量も異なります。
現在の流行期における軽症者に対する漢方治療の内容を紹介します。治療例はまだ20例ほどで、内容は今後修正変更する可能性があります。

主な症状

症状は、咳、鼻汁鼻閉、咽頭痛、頭痛、嗅覚味覚障害が殆どで、発熱は37℃台が多く、39℃以上の高熱が出ても1-2日で解熱するケースが大半です。微熱が続くケースが時々あります。咳は夜に多いケースが目立ちます。下痢も時々ありますが、長く続きません。
ワクチン未接種者は、症状が少し強く、有症状期間もやや長い傾向がある印象です。

処方

使用している具体的な処方は主に以下(A)(B)の2通りです。

A)基礎疾患のない成人(カフェイン入り栄養ドリンクを飲んでも大丈夫そうな人)
葛根湯加川芎辛夷(当院採用薬番号2)+ 小柴胡湯加桔梗石膏(同109)
【注意点】
  1. 高血圧がコントロールできていない人、頻脈性不整脈のある人、前立腺肥大による排尿困難がある人の場合は、小柴胡湯加桔梗石膏だけにします。葛根湯加川芎辛夷には「麻黄(まおう)」が含まれ、血圧や心拍の上昇、また排尿困難を起こすことがあるためです。

  2. 処方日数は、原則5-7日以内です。2剤とも3包/日の場合、「甘草」が4.0g/日と多く、偽アルドステロン症(高血圧、浮腫、低カリウムのうち1~3症状、治療は甘草製剤の中止、スピロノラクトン)を起こすおそれがあります。高齢女性や、腎疾患で発症リスクが高いので減量します。通常は数日の投与で問題が起こる可能性は低いです。

  3. 「小柴胡湯加桔梗石膏」について:間質性肺炎は頻度が低いまれな副作用です。肝障害は約1%程度の頻度で起こり得ます。いずれも短期間の投与であればより安全で、早期中止により速やかに軽快します。どちらもアレルギー性と言われているので、漢方薬による副作用の既往がある場合は控えます。

  4. 体重60kgを目安に、常用量(3包/日)から体重に応じて増減させています。デルタ株までの経験では、70kg以上の人に常用量では効果が不十分でした。BMIが低値の場合でも、症状が強い初期は十分な量を使用し、軽快に伴い減量することもあります。

  5. 嗅覚障害への効果を期待して、葛根湯ではなく、葛根湯加川芎辛夷を選択しています。COVID-19後遺症に深刻な嗅覚障害が残ると日常生活に大きな支障をきたします。現時点では、葛根湯加川芎辛夷を急性期に内服すると、嗅覚障害は数日で回復します。

  6. 常用薬や咳止め、解熱薬など西洋薬とは問題なく併用しています。ただし、COVID-19治療用の漢方薬を内服中は、他の漢方薬の併用は避けます(副作用予防のためです)。
B)高齢でやせ型、や、「身体が弱い」「体力がない」人
滋陰降火湯(同93)3包分3 
BMIが低値の場合や高齢者では、2包分2にしています。
【注意点】
  1. 胃腸虚弱な人は、胃もたれなど消化器症状が出現することがあります。「地黄(じおう)」という成分のためです。中止によりすみやかに軽快します。

  2. 特に「少し動くだけでしんどい」人は、こちらの処方にしています。いわゆる倦怠感ではなくて、少し動いただけで心拍数が上がりやすくなっている可能性があります。
C)その他:周囲に感染者が出た場合、予防薬として使用(保険適応外)

濃厚接触者に対して、葛根湯(同1番)+補中益気湯(同41番)を使用したことがあります(その後発症せず)。
東洋医学的には、普段の予防には補中益気湯、濃厚接触となった場合など発症リスクが高そうな時は葛根湯(±小柴胡湯加桔梗石膏)が選択肢となり得ると考えています。
※2剤を併用する場合は、7日以内、長くても14日以内にします。
※葛根湯の場合は、「甘草」による偽アルドステロン症の他、「麻黄」による血圧や心拍の上昇、排尿困難にも注意が必要で、スポーツ選手のドーピングにひっかかる成分も入っています。
※まれですが、いずれの処方でも薬疹は起こり得ます。