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医療市民講座

第20回 開催報告(平成29年11月11日開催)

前立腺がんのお話〜その特徴から最新治療まで〜

泌尿器科診療部長
古瀬 洋 医師

前立腺がんの特徴

古瀬医師
古瀬医師

 前立腺がんは高齢者に多いがんであり、加速度的に高齢化が進む本邦では今後増加していくがんのひとつです。進行は比較的遅いものが多く、早期発見・早期治療ができれば完治する可能性が高くなります。しかし、初期には無症状であることが多いため発見が遅くなり、進行した状態で見つかるケースもまれではありません。完治可能な早期の段階で発見されるためには、皆様が前立腺がんについての確かな知識を持ち、定期的に検診を受けていただくことが大切です。
 図1に示すとおり、前立腺がんが見つかる症例数は右上がりに上昇している一方で、死亡率は頭打ちとなり他のがん種と同じように減少傾向になっています。これはがんの早期発見・早期治療によるところが大きいと思われ、他のがん種と同様に前立腺もがん検診が大きな役割を演じているものと考えられます。

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図1

前立腺がんの診断 〜特にPSAを中心に〜

 その検診の中で特に重要な役割を演じるのが、PSA(Prostatic Specific Antigen;前立腺特異抗原)という前立腺の腫瘍マーカーであり、4.0 ng/mLを超えてくると前立腺がんの疑いありとなります。
 図2に示されるとおり、PSAが10.0 ng/mLを超えると圧倒的に前立腺がんの症例が増えてきますが、4.0〜10.0 ng/mLまでの間には前立腺肥大症の症例も多く含まれています。この範囲ではおおよそ3割の症例からがんが見つかりますが、4.0を超えていれば必ずがんであるというわけではなく、PSAのグレーゾーンと言われています。
 したがって、検診でPSAが4.0 ng/mLより高値であると指摘されて受診された場合にも、すべての症例にいきなり体の負担の大きな検査を行うことはありません。PSAの数字のみでなく、直腸診で前立腺を触診した所見や超音波検査での前立腺の所見も考慮して、前立腺がんがより強く疑われる場合には、がんを確定するための検査である前立腺生検を行っています。  
 前立腺がんと診断された場合、治療の決定にはそのステージ(病期)が大変重要になってきます。CT、MRI、骨シンチなどの画像検査を行うとステージが明らかになりますので、その結果に基づいて前立腺がんの初期治療を導入していくことになります。どのような治療が適応になるかはステージ別に概ね決められていて、前立腺がん診療ガイドラインにも詳しく記載されています。

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図2

前立腺がんの治療法

 前立腺がんの治療法は、表1に示すとおり、局所的治療(手術療法、放射線治療など根治を目指した治療)と全身的治療(ホルモン療法や抗がん剤による化学療法など)の大きく二つに分けられます。ステージが治療方針を決める大きな要素であることは間違いないですが、個々の患者さんの年齢、全身状態や合併症の有無、患者さんの希望など様々な背景を考慮して最適な治療を提供できるように心がけていることは言うまでもありません。
 特に手術療法に関しては、当院では平成28年11月に最新の手術支援ロボットのダヴィンチXiが納入され、これを用いた前立腺全摘除術を積極的に行っております。平成29年度は28件のダヴィンチ手術を実施しましたが、特に大きな合併症もなく安全に遂行できています。今後も、術式の工夫・改良や術者の技術の精度を高めるべく、引き続き症例数を重ねて研鑽を積んでまいります。

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表1


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